玄米を手早くおいしく炊く方法として秋田地方に伝わるびっくり炊きですが、玄米のびっくり炊きは浸水なしのため、玄米の毒性が体に悪いという噂もあります。
実際に浸水なしだとどうなるのか気になりますよね。
びっくり炊きは本当に体に悪いのか、浸水しないとどうなるのか、玄米のおすすめの炊き方や鍋での炊き方なども併せてご紹介します。
玄米のびっくり炊きは体に悪い?
玄米のびっくり炊きは体に悪いのか、ですが、結論から言えば気にするほどのものではありません。
ではなぜ体に悪いと言われているのか、玄米のびっくり炊きが体に悪いと言われている原因は2つあります。
それがアブシジン酸とフィチン酸です。
アブシジン酸は発芽抑制因子のことで植物ホルモンです。
このアブシジン酸が人の細胞のミドコンドリアを傷つけるため体に悪いと言われているのです。
アブシジン酸
そしてこのアブシジン酸は玄米を発芽させることで不活性化させることができるため、びっくり炊きのように玄米を発芽させずそのまま炊き上げる方法では毒になると言われています。
しかし、アブシジン酸が含まれる食材は玄米だけではありませんし、含まれている量もごく少量のため、内閣府の食品安全委員会でも安全性に問題なしと報告されています。
つまり玄米のびっくり炊きで健康被害は出たりする危険性はほぼないといえます。
どうしても気になるという方は12時間~36時間ほど(季節などにより変動)浸水させて発芽させてから炊くようにしましょう。
フィチン酸
次にフィチン酸ですが、フィチン酸は有機リン酸化合物で、体内の鉄や亜鉛といったミネラル分と結合し、吸収を阻害するキレート作用が強いため、ミネラル不足になるというものです。
このフィチン酸も発芽させることで減少するといわれているので、浸水させていないビックリ炊きは体に悪いといわれているのです。
しかしこれは誤りで、玄米にはフィチン酸は含まれていません。
玄米に含まれているのはフィチンであり、フィチン酸ではないのです。
フィチンとは、フィチン酸がすでにミネラルと結合した状態のもので、体内で分解されてはじめてフィチン酸になります。
つまりミネラルを持っていくどころか、逆に含まれていたミネラルを体内に置いて行ってくれるというわけです。
もちろん再びミネラルと結合して排出してしまいますが、±0かむしろプラスにしかなりません。
したがってフィチン酸のせいで玄米が体に悪いというのは誤解です。
玄米を浸水なしで炊くとどうなる?
先ほども説明しましたが、一晩以上浸水することによって玄米が発芽の前の状態になり、アブシジン酸の毒素を無毒化してくれます。
では浸水しないとどうなるか気になるところですが、浸水なしで炊くとこのアブシジン酸が含まれた状態になります。
とはいえ、内閣府の安全委員会でも問題ないとのことなので、浸水なしでも直ちに危険ではないと思います。
浸水なしで炊ける炊飯器もありますからね。
ただ、念には念をということで、なるべく浸水はしたほうがいいと思います。
中々長時間吸水時間を掛けられないという人には、浸水無しで玄米を美味しく炊けるびっくり炊きがおすすめです。
鍋に洗った玄米と玄米の1.2倍~1.5倍の分量の水を入れ、強火にかけます。
沸騰したらそのまま水分がなくなるまで15分程度火にかけ、パチ、ピチといった音がするようになったらふたを開け、玄米の0.8倍~1.2倍の冷水を入れてよくかき混ぜ、ふたをして煮立たせます。
10分~15分程度強火で煮立たせたら弱火にして10分程度炊きます。
火を止めて10分~15分くらい蒸らしたら出来上がりです。
玄米のオススメの炊き方
玄米は浸水させて発芽させなくても体に悪いということはありませんが、白米などと比べて硬い、パサパサしているなど感じる方が多いでしょう。
玄米をよりふっくらと美味しく炊くためには浸水させて十分に水分を含ませることがカギになります。
玄米をしっかり正確に計ったらザルやボウルにいれ、表面についている汚れやゴミなどを落とすように洗ってください。
玄米は白米と違い研ぐ必要性はありませんが、両手で軽くこするようにもみ洗いすると表面を覆っている糠に傷が付き、吸水しやすくなります。
洗った玄米を炊飯器に移します。
ここで玄米1合に対し、ひとつまみ程度の塩をいれると、吸水が良くなり、カリウムの苦みも中和してくれるため美味しく炊き上げることができます。
炊飯器の場合、玄米の分量の6割増しの量の水を入れ、6時間程度浸水させ、炊き上げます。
さらに冷蔵庫で24時間浸水させると、よりふっくら炊けます。
炊飯器に玄米炊きのコースがある場合、玄米の給水線に合わせた水を入れ、浸水させる必要はありません。(吸水時間も炊飯時間に含まれています。)
浸水時間の短縮
浸水時間を短縮させたい場合は40℃程度のぬるま湯で浸水させると半分程度の時間で吸水できます。
炊く時には浸水させた水を捨てて、玄米の1.1倍~1.2倍の冷水を入れて炊いてください。
鍋での炊き方
鍋で炊く場合は、吸水させた玄米と1.1倍~1.2倍の水を入れ、中火にかけます。
水が沸騰したら弱火にして30分炊きます。チリチリといった音が聞こえればOKです。
強火で10秒ほど水分を飛ばしてください。
火を止めて20分蒸らしたら出来上がりです。
圧力鍋を使うとよりふっくら炊けます。
圧力鍋の場合、強火でおもりが動いたら1分、弱火にして20分、最後に30秒ほど強火に戻して水分を飛ばします。
圧力が下がるまで置けば炊きあがりです。
玄米のびっくり炊きは体に悪いかまとめ
- 玄米のびっくり炊きは体に悪いというのは誤り
- 玄米毒といわれているアブシジン酸は健康被害がでるほど含まれていない
- フィチン酸が含まれているというのは誤りで、含まれているのはフィチンで害はない
- ふっくらと炊き上げたい場合は浸水させて十分に吸水させる
- びっくり炊きなら浸水無しで炊くことができる
- 浸水時間を短縮させたい時はぬるま湯で吸水させる
今回は玄米のびっくり炊きは体に悪いというのは本当か、おいしく玄米を炊く方法などについてまとめました。
健康食として注目されている玄米、おいしく炊いて健康的な食生活を送りましょう。